モーメント(短歌人2017年11月号より)
『モーメント』真夏日に雨音聴こゆ老年のジャズシンガーの声の皺より注意報やがては豪雨喪失の質を問うてる防災無線道化師は報われはせぬ空にあるバケツを返し続ける人も冠水区域拡大の報にしずもれる意識のどこか穴のある場所雨雲は去っただろうか経年に疲れて眠るジャケットの骨「短歌人」2017年11月号より
View Article鈴木智子歌集『舞う国』
感動がしたい。 感動というのは文字通り、何かが心身の外側を突き破って内を掴み、激しく揺さぶられるような感覚に陥ることである。 感動がしたいから音楽を聴く、絵画や写真や映像を観て、物語を読んだり詩を求めたりする。 そんな渇望の中で、たとえば詩の中の言葉達が明確な意思を持って私の心身を心地良く撃ち抜いてくれるととても嬉しい。 2年前、私は鈴木智子という人の『砂漠の庭師』という歌集に撃たれた。...
View Article波の地図 原田佳夏/なかひらまい
人間の意識というものは、本人が思っているよりも色んな方向に伸びていて、また、伸びた先で何かをキャッチする力も、本人が思っているよりずっとずっと強いものなのだと思う。...
View Article短歌人会員秀歌2017年10月号
ゆえしれず車道の端にまろびたる玉葱一個も辛からん 夏 (岡本はな) 詠まれている「辛さ」が何に起因するかは想像するより他ありません。そう"ゆえしれず"なのですが「辛さ」が痛いほど伝わってきます。道端、玉葱、いずれも描写というよりも切実な痛みの暗喩。 ニッポンはいいところだと言い募ることは日本的ではないな (野上 卓)...
View Article春よ春、2篇
『未明』繚乱の花のどこかで死に触れる 春の詩が来し方を指す皆狂え 接続詞罰そののちの泡に溶け 鎮もれる夢はほろびを孕みつつ 渡り鳥発って未明の水光る 色彩をかき混ぜましょう鼻歌で 悔恨を仮名で開いて花は花...
View Articleマグノリア、花
マグノリア声という名の淡い夢 梔子が匂う月夜の湖畔から トラウマを齧る眠ったふりをして ヒトで死ぬように抒情を振りかざす 自己愛の奈落に凍る海は凪 異世界を我が半身をいとおしむ
View Article月が見えない(短歌人2017年10月号より)
伸びてゆく夜という夜をどこまでも追いかけている月が見えないラの音の濁音部分震え合う覚悟のようなラ・カンパネラ思慕の間に溢れる水の光るゆえ月が見えない言葉も見えぬたましいの青い小骨をいつの日か分け合いましょう月が見えない思慕の間を遠くの星がすり抜ける夜否むしろ青ざめた朝
View Article水辺の夜2篇
『モノクロームの水辺』戯画として冬の形になる雀 水仙が並ぶ霜夜の宙の床 哀調の和音を孕む海静か 枯野にも詩形はありて鳥うたう 独りには独りの波長鍋吹きて 『除夜、戯画をめくる』除夜しずか一人称の雪降れり 牡丹雪 液晶の中他人めく 掛詞冷えて固まる午後に雪 サシバ啼く見たことのない絵のように 遠ざかるそれぞれの肩越しに霙
View Article川柳×短歌ユニット『pico luna』Vol.0
という訳で茉莉亜まり@Eternalstamoon さんとの川柳×短歌ユニット『pico luna』の小冊子が出来ました。創刊号のVol.0は茉莉亜まりさんの川柳と私の短歌と川柳連作を掲載。私的コンセプトとして『幽玄を綴る月面語』を掲げております。こちら本体送料諸々無料でお配りしますので、ご興味ある方はぜひメッセージかコメントにてお申し込みください。新月や破綻を生きて転生す...
View Articleあけましておめでとうございます。
「とぅとぅがなし(つつがなし)」ただ祈るかな新年の山の緑と海の碧に あけましておめでとうございます。 はい、昨年は年が明けると共に新型コロナウィルスが中国で猛威を奮い、それからあっという間に全世界へ拡大して、今に至るまで全く収束はおろか、その兆しすら見えておりません。...
View Article現代川柳第76号
今年始めたことで大きかったもののひとつが川柳であります。 川柳といえば4年前から地元奄美市の名瀬公民館主催のコンテストに毎年参加しておりますが、これがテーマに沿った内容の句を、しかも奄美方言(島口)を1語以上まじえたものという条件があってなかなか難しい。でも、そんななかなか難しいものであるから余計に興味が沸いてちょっと真面目にやってみようと思いました。...
View Articleフランツ・カフカ『夢・アフォリズム・詩』
読むのも書くのも大好きだが「読むのも書くのもきつい」という周期がやってくる事があって、今その周期だ。 こういう時はなるべく入ってくる余計なものを遮断して、精神的無音を内外に作ってそこで過ごさなければならない。ではどうやって精神的な無音を作ればいいか?散文だ。...
View Article夏の陽(短歌人2017年9月号より)
夏の陽は狂えず迷う晴れ渡るフェイスブックの空の暗きにするするとタイムラインを通りゆく2分5秒の動画もわれも思い出を目に焼き付ける色彩は数限りなくあって虚ろでいくつかの丸く小さなよろこびをアップせざるはよろこびのため「ドローンから撮った海です」風吹けど人は小鳥に進化できない
View Article粒子における詩碑についての考察
秋愁が心とすれ違う刹那 点である冬の告知として芙蓉 晩秋に寒暖の指もつれ合う カランコエ静けさに咲く夢でいい 万物を仮に粒子の詩碑とする 感傷の映えて鴉の低飛行 避雷針夜露に震えまた明日
View Articleオルガ・トカルチュク『昼の家、夜の家』
オルガ・トカルチュクは2018年のノーベル文学賞の受賞者で、ポーランドの作家ということもあって、読んでみたいなとは思っていたんです。そしたらたまたま公民館にあって、これはラッキーと借りてきました。...
View Articleこの雨の音わたしが分解されてゆく
木漏れ日の淋しい方が多分秋夢である波にたゆたう傘になる物体の私を解いてゆく時雨分けられて苦しい水が群れを成す静止画が鳥なら鳥が飛ぶこころ句の内に光と呼べるものがなく
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